奥が深いネコの「白」【論文読み】
引用
Chuong, E. B., Elde, N. C., & Feschotte, C. (2017). Regulatory activities of transposable elements: from conflicts to benefits. Nature Reviews Genetics, 18(2), 71.
解説
下のネコちゃんたちはどちらにも白が入っていますが、なんとなくこの2つの「白」は別物だと考えられてきました。実際、ネコの毛色に関するいろんな本やウェブサイトをめくると、こんな感じで書かれています(↓)。
左の真っ白の様式はかなり特徴的で①かなりの割合でブルーの目やオッドアイ、聴覚障害を伴う ②Wを1つでも親から引き継ぐと、必ず真っ白になる などが挙げられます。しかし、実は左も右も同じ遺伝子上にあったのです。そして、「白色」を生む変異は、レトロウイルス由来のものでした。レトロウイルスとは、過去に感染したウイルスが宿主の「遺伝子の一部」と化してしまうものです(下図)。
この遺伝子は「KIT遺伝子」と言い、ネコ以外の動物でも白色と関係しています。動物の白は家畜化(ヒトによる動物の選抜)から生まれたものなので、とても興味深い遺伝子な気がします。
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