望洋の猫

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長く離れると、ネコはたくさんおしゃべりをする【論文読み】

引用

Eriksson, M., Keeling, L. J., & Rehn, T. (2017). Cats and owners interact more with each other after a longer duration of separation. PloS one, 12(10), e0185599.

解説

ネコは独立心が強い動物だと考えられており、ネコがヒトとの触れ合いを必要としているのかについてはあまりよくわかっていません。この研究では、14頭の単頭飼いのネコを対象に、飼い主が30分または4時間留守にし、

  1. 不在前・不在中・不在後のネコと飼い主の行動は、留守番の時間の長さによってどう変わるのか?

  2. 飼い主とネコの行動は関連しているのか? (例えば、飼い主がよく話しかけるネコほどよくしゃべる、など)を調べました。

その結果、

  1. 飼い主が長く(4時間)留守にしたときの方が、短い(30分)留守のときよりも、飼い主と再会したときにネコはたくさんゴロゴロ言い、たくさんストレッチ(屈伸?)を行いました。また、飼い主のほうも、長く留守にしたときの方が、ネコに対してたくさん話しかけました。

  2. しかし、ネコの行動は飼い主の行動と関連するわけではありませんでした。つまり、よく話しかける飼い主に対して、ネコのゴロゴロやストレッチ行動がたくさん出るわけではありませんでした。

ネコが飼い主のことをどう思っているのか? は私も含め、ネコの飼い主さんの永遠の謎です。これまでの研究では、赤ちゃんやイヌで行った実験をネコでも行って、「ネコは飼い主に対してあまり愛着を持たない」という結果が示されていました。しかしこの研究では、長時間飼い主が留守にすると、ネコもある程度さびしいのかもしれないという結果が得られました。一方で、おもしろいことに、ネコと飼い主の行動はあまり関連しませんでした。単純な相関だけを調べているので、今後、時間軸を含めた分析を行えば(例えば、飼い主が呼びかけたらネコは応答するのか?など)、もしかしたら飼い主とネコの行動に関連がみられるのかもしれません。

また、ネコはあまり飼い主のことを見ませんが、音声でより多くのコミュニケーションを行っているように感じられます(私のネコは私よりもはるかにおしゃべりです)。実際、ネコの声はヒトにとって、ネコの祖先種よりもはるかに心地よく聞こえるという研究もあります。今後、ネコの音声に関する研究が進んでいくかもしれません。

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